私のおすすめの本 4「エコロジカルダイエット」

ジョン・ロビンズ 田村源二訳 1994年出版

この本は、たまたまfacebookで知って読んでみようと思って手に取った本でした。
しかしアマゾンでは何故か高値になっていて、古本を探してもどうしても無くて、近くの市民図書館に置いてあったのですが、個人では取り出せない所に収納してあって、図書館スタッフに言ってやっと借用することができました。
この本はもう廃版になっているようです。何故なのでしょう!こんな貴重な役立つ本が、再版されないなんて・・・
この本こそ是非一人でも多くの人に読んでもらいたいとても価値ある本です。

この本は、副題に「生きのびるための食事法」と書いてあります。
著者は、米国のアイススリーム会社サーティワンアイスクリームの御曹司として生まれ、表紙裏に書いてあるように、「命にやさしい健全な未来」を求めて活動、講演を行う等人間の健康と地球を守る健全な食事、環境を汚染しないエネルギー、自然資源の賢明な利用法を説いて活発に活動している人です。
今までの色んな研究資料を基に真摯に力強い視点でそして又優しい眼差しをもって書かれている350ページほどの分量のある本です。
私は今まで読んだ本の中でこれほど衝撃を受け、怒り、悲しみをもち感動した書籍はありません。

本書の前半はいかに動物たちが神聖で賢く感受性をもった生き物であるのか、ニワトリや豚や牛やその他の動物たちも、この宇宙の中で与えられた生命を精一杯生きたいと思っているし、人間の役割が一人一人違うように動物たちもそれぞれ役割を持って生まれてきている、だから敬意と尊重の気持ちをもって扱うこと。
それなのに実態はひどいことになっている。動物たちは、狭い場所に閉じ込められ、ホルモン剤や抗生物質など薬漬けにされ、動物はただの物体と見なされ、流れ作業によって解体され、人間の意のままに消費される原料でしかない。しかしこれほどまでに動物虐待をしても規制する法律はないのです。
今では養鶏、養豚、酪農は工場化し、アグリビジネス巨大企業の利潤追求のえじきになっている。
この本が書かれたのがもう30年近くにもなるので、現在はもっとひどい状態だと思われます。恐ろしい思いです。

でもこの肉類を実際に食べている人間(自分も含む)、日本だから少しは違うと思いますが、どんどん輸入されている訳だし、この肉食のために、どれほどの動物が悲しいつらい人生を送っていくのかを思うとなんとも言えない気持ちになります。
昔のナチスのアウシュビッツのことを連想するような気になります。あれは同じ人間が人間に対し残虐な行為をしていたわけですが、人間と同じ哺乳類の仲間である牛や豚に対しての残虐行為はこれと同じでしょう。

後半は、近年医学研究の発展と共に肉食という動物性のものが色んな病気、癌や心臓病など成人病の原因において強い相関関係があることが証明されてきたこと。それでも畜産や鶏卵産業の企業側は、統計を操作したり色々な手を使って、断固として肉や乳製品と癌や心臓病その他病気の相関関係を何とかして否定するという無駄な戦いに終始している始末。
昔の伝統的な畜産方法とは異なり、今や飼育工場と化した家畜にたいしてのホルモン剤、成長促進剤、殺虫剤、鎮静剤、除草剤や抗生物質等ありとあらゆる恐ろしいほどの農薬が入れられている実態。そういう薬漬けの農場で作られた製品を食べるということは、肉自体の栄養は別にしても健康とかけ離れていくというのは当然の結果ですよね。そこで癌になったらなったで、今度は癌戦争に巻き込まれ、結局三大療法を謳う巨大癌医療ビジネスに取り込まれていく、予防より治療のほうがずっと金になるんです。以下引用します。

「だから早期発見による真の利益者は、医療をほどこす側である。早期発見ということは、死ぬまでの期間が長くなったということで、以前より長いあいだ治療ができるということなのだ。要するに診察、処理、検査ともに増え、入院も長くなるので医者にそれだけよけいに金がころがり込むわけだ。」

『J.マクドゥーガル医学』より J.マクドゥーガル・・・現代の癌治療に詳しいある著名内科医 

地球環境から言えば、肉食を支えるために切り倒される木のために、中南米諸国における熱帯雨林が伐採されたり燃えてしまったり、地球に酸素を運び、地球最古の生態系である動植物の宝庫が失われていってるんです。肉食業者が牛の放牧地を確保するために故意に火をつけているということもあるようです。
そしてアメリカで使用される水の半分以上は、飼料栽培地と放牧地の灌漑に使用されていて、家畜の排せつ物を流すのに、ものすごい量の水が使われているのです。これほど肉の生産に土地や水など地球の大事な自然がどんどん侵されていっている実態、私たちが肉食をするのにかかる膨大な消費エネルギーの現実が書かれています。

又最近のオーストラリアの火災にしても地球環境がどんどん悪化している証拠のようで、地球変動の表れで大災害に続く大洪水が起こりやすくなっているのも事実で、どこで温暖化に歯止めがかかるのか・・まだ有効な対策は練られていません。有効な手段は肉食を止めることです。それも世界規模で。
動物を殺さなくても地球には私たちが食べるに十分な食べ物はあります。菜食からでも十分タンパク質は取れますし、牛乳に依存しなくても野菜からカルシウムは取れます。むしろ牛乳を取ることで骨粗鬆症になるリスクが高まるそうです。菜食で筋肉も作れるし、しっかりと健康を維持することができます。実際有名なスポーツマンにはベジタリアンが多いです。

最後に忘れえぬ夢というタイトルで書かれている文を引用しておきます。

「ほとんどの人は、食卓についても、自分の食習慣が地球に与える影響をたいして意識しない。ほとんどの人は、ビッグマックの一つひとつに熱帯雨林の一部が含まれていることや、ハンバーガーが10億個売れるたびに百種の生き物が絶滅していくことに気づいていない。肉がジュージュー焼ける音の向こうで、動物が苦しみ、表土が破壊され、森林が切り倒され、経済活動が害され、自分たちの健康が蝕まれていることに、気づいていない。肉の焼ける音のなかに、救いうる大勢の飢えた人たちの叫びを聞くことはない。毒物が食物連鎖のなかで蓄積され、子供たちやこの地球を何世代にもわたって汚染し続けることにも、気づいていない。・・・・・・
だが地球が、子供たちや動物や森林や空や川が、私たちに思い出させる。私たちはこの地球の一部であり、この地球は私たちの一部であるということを。あらゆるものは密接につながっていて、だからこそ毎日の暮らしでの私たちの選択が、自分の健康と活力のみならず、他の生き物の生命や、ひいては地上の生命の運命そのものに、計り知れない影響を与えるのだ。」

エコロジカルダイエットより

動物や他の生命をいつくしみ、健康のことを考えて食品を選んでいる人たち、ベジタリアンやビーガンの人たちを今は変人扱いすることがありますが、飼育工場で生産された肉を普通に食べている人たちとどっちが変人なのでしょう。
私はもう肉食は終わりにしました。魚は少々食べていますが、外食以外はできるだけ野菜、果物、穀物を食べるようにしています。健康な地球を取り戻すために自分でやれることは微力ながらやっていきたいと思います。この本一度ぜひ読んで欲しいです。

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Posted by マリリン